この世界

ある程度、可能性が確立された時代に生まれてきた僕たちは、

動く余地もなく、わずかな可能性すら見てもらうこともない。

ただ持っているものは、その自由な歌声だけ。
自由に叫ぶ歌声があれば、この世界も悪くない。

その歌声を奪われたらどうしよう?
どこにいけばいい?


歌声を奪われたあの人は、
行き場所もなく、一人寂しくこの世界を去っていったが。

歌声を奪わないで。
この少ない可能性を奪わないで。


人を殺さないで。
殺してしまいそうだから。


これ以上同じことを繰り返さないで。

この世界は薬漬けの人間を支えるための税金はあっても、
道端で泣きそうに生きている彼女達を支える金はない。

歌声を奪われた彼が望んだ世界は、

たった一つ。
道端で犬のように子供が死ぬことのない世界。

豊かな、黄色の世界。

色のある世界。

それは理想郷でしかないかもしれない。
でも、そんな彼の歌声を奪った彼らの罪は重い。


これ以上人を殺さないで。

これ以上道端で犬のように子供が死ぬことのないように。


中華の地に西に流れる川のように。

それはもう虚しい理想郷でしかないけど・・・・・・・・・・・。




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